Hanoi36 夏
強い日差しの下、影は色濃く地面に落ちて
全ての物の輪郭がクッキリと
切り取られたかのようにそこにある。
人々の暮らしは、けっして楽とはいえないが
静かに日々の営みを繰り返す。
角を一つ曲がるたびに、
足を止めてしまう風景に、胸がざわつく。
何気なくさまよう視線の先に
永遠を見つける。
人なつっこい笑顔、裸足でかけて行く子供
ウチワを持ったお婆さんは
姿勢よくイスに腰掛け
ゆうゆうと通りを眺め、夕涼みだ。
ちょっと一服、けむりがとけて行く空の
遥か彼方で時間が止まる。